この度はブログへのご訪問ありがとうございます。
宝石や手仕事への想いを共有できる皆様に、この記事を届けられることを嬉しく思います。
先日、日本ジュエリー産業の集積地である山梨で開催された「山梨ジュエリーフェア」
その地にある山梨ジュエリーミュージアムではそれぞれの職人の想いを知ることが出来ました。

山梨の伝統的な加工技術と、輝きに満ちた天然宝石達をお届けします。

山梨県は世界屈指のジュエリー集積地として知られていますが、
その技術の礎となっている伝統技法の一つが「かっこみ(掻き込み)」です。
1. 「かっこみ」とは何か
「かっこみ」とは、水晶や天然石の原石を彫刻する際、
不要な部分をタガネとハンマー(金槌)を使って大胆に叩き落とし、大まかな形を削り出す工程を指します。
西洋の彫刻でいうところの「荒彫り」や「粗削り」に相当しますが、
水晶は非常に硬く、かつ一定の方向に割れやすい性質(へき開)があるため、
金属や木材を削るのとは全く異なる緊張感を伴います。
工程の流れ
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石の状態を見極める→形を追い込む: 最終的な完成図をイメージしながら、タガネを石に当て、金槌で叩いて余分な部分を剥離させていきます。寸法の調整: この段階で次の「摺り(すり)」工程へつなげる準備を整えます。
2. なぜ「かっこみ」が重要なのか
この技法が「伝統技法」として尊ばれるのには、いくつかの理由があります。
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「やり直し」がきかない緊張感 一度叩きすぎて必要な部分まで割れてしまえば、その石で作品を作ることは不可能になります。
石の「層」や「癖」を読み取る職人の勘がすべてです。
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歩留まりの最適化 高価な天然石を無駄にせず、
石の良さを最大限に引き出す形を見極める眼力が必要です。
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後工程への影響 「かっこみ」が正確であればあるほど、その後の研磨や細部彫刻の精度が上がり、
作品に力強さが宿ります。
3. 山梨の伝統工芸「甲州水晶美術彫刻」
山梨県(特に甲府市周辺)では、江戸時代から水晶の採掘と加工が盛んでした。この「かっこみ」は、国の伝統的工芸品に指定されている「甲州水晶美術彫刻」の基盤となる技術です。
現在ではダイヤモンドカッターなどの機械も使われますが、複雑な形状や一点ものの美術工芸品を制作する際には、
今でも職人が手作業で石と対話しながら「かっこみ」を行います。
4. 現代のジュエリー制作との関わり
現代のジュエリー制作においても、この伝統的な感覚は受け継がれています。
例えば、「手擦り(てずり)」によるカットや、石の個性を活かした「一点物」のジュエリーを作る際、
天然石の魅力を最大限に引き出すためには、
機械任せではない、職人の「石を見る目」と「力加減」が不可欠なのです。
つまり、石と対話をするということが大切なのです。
当店が近年宝石リフォームで大切にしているのも、単なる作り替えではなく、石との対話です。
では、石との対話とは、どのようなことでしょうか…。
お客様からお預かりした品(石)をよく観察します。
どういかしたら美しく映えるか?お客様が身に着け易いか?加工する際状態は適切か?等々
石の性質を見極め、最も美しく輝く瞬間を追い込むその真剣勝負の精神は、
私たちの宝石リフォームにも深く息づいています。
かつて職人が原石の「声」を聞き、タガネ一つで石の個性を導き出した山梨の伝統技法「かっこみ」。
「かっこみ」ができる職人は、山梨県内の限られた工房に数えるほどしか残っていませんが、
その技術は「美術彫刻」という極めて付加価値の高い分野において、今もなお魂として守られています。
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